第2部
〜 ビートルズ② 11曲 〜
ハロー・グッドバイ
おぼろ月夜の春ではないが…
ハロー・グッドバイ
原曲:ハロー・グッドバイ
おぼろ月夜の春ではないが
やけに・きれいな 藤の棚
そぞろ歩きに 疲れたら
見上げてみるのも 悪くない
いざよい月夜にゃ 早いけど
若葉の・香る この季節
月の光も 満ちていて
涙を拭くには よく似合う
ひとつの恋を辿るにつれて
きみも・大人になっていく
可愛い愛の ときめきが
ときには 激しく胸を打つ
炎の恋には 早いけど
身を・投げてこそ 実る愛
今度は あなたが抱きしめる
一夜を 千夜に 繋ぐため
愛してもらう 受け身じゃなくて
あなた・が奪う 愛もある
ことばの愛を 飛び越えて
からだで伝える 恋もあり
そろそろ あなたも その齢に
辿りつく・ころ じゃないかしら
愛してもらう 愛じゃなく
あなたが愛する 恋もある
ア・ハードディズ・ナイト
夏の夜の おぼろ月夜の 宵闇の…
ア・ハードディズ・ナイト
原曲:ア・ハードディズ・ナイト
夏の夜の おぼろ月夜の 宵闇の
妖しく 迫る 忍び音に
浴衣姿の 女人たち
なぜか 切なく 競りあがる
胸の喘ぎに 酔い痴れて
乱れる心を 脱いでいく
あやかしの 耳には聴こえぬ 闇の中
ただ 身体の 奥深く
激しく 募る 色模様
紅いろ 真紅の焔に 揺られ
浴衣の帯も 乱れ 解く
愛の人魚に 変わり果て
誰かとは 定めた人ではないのだが
男のものに 身を 任す
夏の夜の おぼろ月夜は 愛の声
ため息 と息 赤い声
七色の波を ふるわせて
古都の 古今を 奏でだす
夕闇も 更けつつ 今宵 愛の火は
めでたき声の うちふるえ なり
フローム・ミー・トゥ・ユー
なぜでしょうか どうしてなのか…
フローム・ミー・トゥ・ユー
原曲:フローム・ミー・トゥ・ユー
なぜでしょうか どうしてなのか
記憶のページ 振り返り
あのとき そのとき あなたとは
どんなお話し してたのか
思い出してはみるけれど
どうしてなのか 分からない
今夜のあなたの 冷たいお顔
いつもの あなたと 違ってて
わたしなんか ここにはいない いないでほしい
〜とでも いうように
何が起きたと いうのでしょうか
躓き 転んだ 仲たがい
それとは知らず 踏んだ あなたの地雷
思い出しては見るけれど
あなたが冷めた 一瞬が
わたしはいまも 分からない
あなたの笑みと 優しさが
いまでは凍える 他人の眼
わたしが いま ここにいてはいけない いては困る
〜とでも いうように
ア・ハード・デイズ・ナイト
自分で自分を いじめると…
ア・ハード・デイズ・ナイト
原曲:ア・ハード・デイズ・ナイト
自分で自分を いじめると
嫌になるほど 癒される
変態なのかな こんな癖
本当は 明るい女子でいたいけど
いつも元気 そういうわけには いかないの
微笑み絶やさず 気をつかい
落ち込む気分の 夜の顔
自分で自分を羽交い絞め
自分で自分を 責めている
まったく変ね わたしって
ホントは暗いの 嫌だけど
いつも朗らか そういうわけには いかないの
せめて朝まで 酔っぱらったら
すこしは 憂さも 晴れるかな
コロナ自粛の 気疲れで
わたしは わたしを 遠ざける
おかしいでしょう こんなのなんて
ホントは自粛 ごめんなのに
いつもお遊び そういうわけにはいかないの
ひとり 全裸で 胡坐かき
手酌 ヤケ酒 勝手にしたいわ
そうだ この手が あったよね
だれに 気兼ねも あるもんか
暗い顔など ぶっ叩き
笑って 笑って 笑いこけ
自分を もっと 大切に
ヤケでも なんでも いいじゃない
わたしは わたしが 大好きよ
ヘイ・ジュード版 ご忠告
好きなら 好きだと はっきりと…
ヘイ・ジュード版 ご忠告
原曲:ヘイ・ジュード
好きなら 好きだと はっきりと
あんたの気持ち 伝えなさいよ
メソメソしたって いっこうに
あんたの気持ち 伝わらないよ
断わられたって いいじゃない
どうせ あいつの こんたんは
あんたと セックスすることで
愛のアの字も知らない男なのさ
それでも いいと いうのなら
最初から脱ぐ気で 当たったら
一回くらいは おつきあい
奴のことだ 喜んで
・・・・・ら ら ら ら
受けてくれると思うよ
バカバカしいとは思うけど
十七、八の 女の子
いったん燃えたら あとさきの
判断なんて うわの空
未成年の恋は 麻薬的な猛毒で
効きすぎて あとが 恐ろしい
そのことだけを 注意して
あとは あんたの責任で
どうにでも
お好きなように されると いいわ
ハロー・グッドバイ
私は恋で 悩んだことなど 一度も なくて…
ハロー・グッドバイ
原曲:ハロー・グッドバイ
私は恋で 悩んだことなど 一度も なくて
彼がダメなら さっさと別の彼に お乗り換え
その彼 やっぱり見かけ倒しなら
間髪入れず スイッチ 切りかえる
ひとつでも気に入らないところがあれば はいバイバイ
結婚なんて 考えたこと 一度も ありません
もしかして 三十近くなったころ
結婚願望めばえるかとも
考えないことないけれど
二五では まだ 早い
恋愛体験 疑似体験 できるかぎり繰り返し
簡単に 口説かれる女じゃなくて じっくりと
口説き上手なテクニック 磨くためにも ガンバルぞ
理想的には二つ下 もひとつ下でも かまわない
いままでに 年上男のズルサ ゴウマン 身勝手を
さんざん 見てきた私です
見下すような男の眼 アイスピックで刺したいわ
なにかといえば お説教
かよわい女を相手に おい おまえ
威張りたければ 威張ればいいさ
私 なんにも 聞いてはいない
騎乗位上手な女になって
いたぶるように 年下男を可愛がる
私の夢なの いけないの
女の愛の形って さまざまあっても
いいんじゃないかと 思うけど
あなただけのことではないよ
何が意味で 意味ではないか…
あなただけのことではないよ
原曲:ヘイ・ジュード
何が意味で 意味ではないか
意味も知らずに ことばを使い
よく考えて見たら そのことばさえ
他人のことばを 真似してた
自分のことば ひとつもなくて
みんな人から借りた 他人のことば
私をことばから引き算したら
残る虚ろな 意味のくず
何が自分のことばか そうではないか
ことばも意味も知らずに 使い
よく考えてみたら 私は ただの
人の真似して 生きてたわ
個性 感性 みんな借りもの
人生すべてが 借りもの 借り衣装
自分の頭 覗いてみたら
空っぽ 空洞 なにもない
何も知らずに 自分の個性
あると信じて 今まで過ぎた
よく考えてみたら 空っぽなひと
慌ててみても もう 遅い
私も二五 やるなら いまよ
自分のことばも意味も さらりと棄てる
虚ろ 空っぽ 踏み越えながら
世の中 上手に 生きてゆく
どうせ この世も 空っぽばかり
デイ・トリッパー
お終いの シグナル鳴って もう二年…
デイ・トリッパー
原曲:デイ・トリッパー
お終いの シグナル鳴って もう二年
気がつかないって ヤア ヤア ヤア
驚き 桃の木 山椒の木
一五、六の ワタシたち だって もよ
お胸の奥に刺さって キュン キュン だったんだから
ねえ ねえ オジサン そこの人
前ばかり見て 走ってたら さ
もう 時代遅れも いいとこ ジャン
ジャン ジャン ジャン の 毛三本
な〜んにも意味は ないけれど
意味のないこと 歌うのが
今では はやりの 大流行
知ってたの ねえ オトウサン
定型文句って あるじゃない
そうよ アレ アレ 五七の文句 いい調子
一七、八の あたしらだって ねえ
それは それは くらっと お腰が揺れて来ちゃったわ
ねえ ねえ オニイサン そこの人
よそ見で きょろきょろ ナンパするよりも
見やがれ ミラーで てめえのツラを
脳なし 文無し アッカンベー
な〜んにも意味は ないけれど
さも意味あり気に さ 嘘ついて
ひっかけようたって それは 無理
あきらめなさい オニイサン
わたしたち 女軍団 まだ 若い
歳の頃でも 未成年
バージン保っておりさえすれば
やりたい放題 なんでも できて
同じ仲間といっしょなら
喧嘩 カツアゲ へっちゃら 平気
大人の女になる前の
いちばん 大事な 季節だよ
抱きしめたい
私は黒い 魔の女…
抱きしめたい
原曲:抱きしめたい
私は黒い 魔の女
黒くて 暗くて 真っ黒で
闇の中でも 見えやせぬ
吸う息よりも 吐く息の
激しい鼓動が 闇を打ち
男のあなたを 狂わせる
甘く濡れた 真っ赤な舌で
黒い女の 毒を 吐く
セックスこそが 私の武器で
キスなど前戯の お遊びよ
ひと目で気づく 欲望を
でも 知らぬ気に うぶな顔
恥じらいながら ついてゆく
彼らの作戦 お見通し
男が 喜ぶ 瞬間に
あなたの咽喉を 刺して 裂く
ああ 痛快な 男たちの
血まみれ のたうつ 断末魔
私にとっては 快感で
ああ たまんない たまんない
セックスなんかは 幼稚園
大人の女の 快感は
男のもだえる 眼のなかに
我慢できない 歓びが
恋歌
私から あなたへの これが最後の メールです…
恋歌
原曲:デイドリーム・ビリーバー(モンキーズ)
私から あなたへの
これが最後の メールです
十年 想えば 長いおつきあい
ひとまわり 大人になったのよ
さらりと言えて 笑えたら
どんなにか 気持ちも楽でしょう
十年経って ふたりとも
歳が変わっただけでなく
想いを伝える 気分まで
すっかり 変わってしまったわ
あなたは しきりにもう一度
話し合おうというけれど
会えば 冷たい視線だけ
私から あなたへの
これが最後の 返事です
私も会いたい心は 同じです
会って お話しできるなら
急いで出かけて 行きたいわ
いつもの場所で いつものように
十年過ぎても ふたりとも
相変わらずね と笑えたら
心なんか いらないわ
あなたの心が 私を包み
ひとつに融ける 夜が いい
でも 愚痴なんか 止しましょう
未練の時間は 過ぎたのよ
イエスタデー(応用篇)
言葉だけでは 愛や恋だと浮ついてても いまどき…
イエスタデー(応用篇)
原曲:イエスタデー
言葉だけでは 愛や恋だと浮ついてても いまどき
恋や愛 誰も 信じちゃいないのさ
この臭い街 嘘とフェイクで満ち溢れ
肝心な心は 後生大事にと 仕舞い込み
自分のことしか考えない 腐った臭いの漂う街で
おかしいじゃないか
恋する気分も ないくせに
愛ほどダサイことばはないよな そうだろう イエスくん
恋と愛を簡単にくっつけて 恋愛だなんて
笑わせるなよ そうだな イエスくん
誰でもいいから掴まえて 聞いてみるがいいさ
マスクの上の 眼だけが顔の 女の子
彼女たち 心は不安と秘密でいっぱいで
本性 本音 胸の奥の 自分のヘドロ ぜったいに
どんなことがあっても 見せまいと
尋ねられれば 笑いかけ
小首を傾げて 知らんぷり
ひとり夜中に 顔を 削ぎ
無表情の 心の奥を 覗きこむ
ああ いやだ いやだ 見たくない 自分の本心
腐った街の嘘とフェイクそっくりな
嘘にまみれた悪臭で 自分で自分を 見失う
困ったことに 誰もかも
自分の本心 話さない
ただ嘘だけが増えつづけ おお イエスくん
虚ろな言葉だけが 花ざかり