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ビートルズプロジェクト

第3部

〜 ビートルズ&その他の名曲 14曲 〜

キャント・バイ・ミー・ラブ

が〜んとやろうぜ わん つう すりー…

キャント・バイ・ミー・ラブ

原曲:キャント・バイ・ミー・ラブ

が〜んとやろうぜ わん つう すりー ロックの 音量 あっぷ ツウ らウド 言葉 掻き消え 口パク みたい 何を歌っているのやら さっぱりわからない 代わりに 腰ふり 膝ふるわせて 妙に 何かを 暗示する 普段は恥じて 隠しているが ここぞとばかり 解放し 女子たち 群れて セクシーに やんちゃな男と おてんば娘 歌って 踊って 夜が 更ける 不謹慎だよ おまえたち 嘆く親たち 尻目に 敷いて やるわ今日こそ 全力で 思いの丈を ぶっとばし パンツ脱ぎ捨て 舞台に投げる ひとりの勇気に 続けとばかり 黄色い声が 狂乱す 舞台の兄ちゃん 負けじとばかり どうでも いいや 知るもんか ギター千切れて ドラムも破れ あとは轟音 髪振り乱だし 頭の芯が 狂うまで

ペイパーバック・ライター(日本の演歌をもじる)

にほんの えんかあ〜…

ペイパーバック・ライター(日本の演歌をもじる)

原曲:ペイパーバック・ライター

にほんの えんかあ〜 沖のカモメと 岬の女 男純情 女の情け 〜にほんの えんかあ〜 旅情もたっぷり 染みこんで 歌う声にも 切なさ 募る 想い出と未練がなけりゃあ 歌じゃなく 演奏 年甲斐もなく むせび泣き なぜか 必ず 霧がでる 日本の演歌  にほんの えんかあ〜 雨も降ります 心を濡らし あなたは憎い わたしの男 〜にほんの えんかあ〜 一夜かぎりの ちぎりでも 十年待つほど 深情け くり返し あなたの影を 演奏 いまは悲しい 他人(ひと)の妻 女心の せつなさよ 日本の演歌  にほんのえんかあ〜 女はみんな 泣いており 男もみんな 泣いている 〜にほんの えんかあ〜 歌を聴く人 泣いていて それを見て また 人が 泣く 夜霧まじりの 忍び雨 演奏 募る想いに 耐えながら 唇 噛んで 嗚咽する 日本の演歌  にほんの えんかあ〜〜

和製・れっつ・いっつ・びぃ

愛を歌う 恋を歌う…

和製・れっつ・いっつ・びぃ

原曲:レット・イット・ビー

愛を歌う 恋を歌う 人の心を 歌う 切れ目なく 時代は ずっと 若ものの恋の命を 継いできた たしかに ひとむかし 二十世紀の歌なら きっと 愛のことば 恋の想いも 歌聴くひとの世界に 生きていた 「でも いまは ことばだけ 恋の意味から 愛の命が抜き取られ 乾いた土地に咲く 虚ろな幻想 蜃気楼より はかない夢が 人の心を 空(から)にする 失われた心でも 消えた恋でもありません 恋の根づく心が 枯れて 愛の潤い 凋む だけ いくら 言葉で 飾っても」 その花 根づく環境が すっかり変わった世界では セックスだって 虚しいね 街は 今日も 嘘日和(びより) 明るい空が 見えたとしても それは 作り話の 空なのよ 一枚めくれば その裏で 恋の蕾さえ 枯れている ※「かっこ」内の部分を、最後に 繰り返すこと。

ボーイハント(コニー・フランシス)

母を理解するには まだ 私は若すぎた…

ボーイハント(コニー・フランシス)

原曲:ボーイハント

母を理解するには まだ 私は若すぎた 父とは別の人に 溺れる母を 一五歳の 私は 憎しみ 汚れたものにでも 触れる心で 拒絶していた 四二歳の 女の荒野 知るには 私は(まだ)若すぎたのね 母と同じ歳になり 期せずして 私もまた 彼とは別の人に 溺れてしまう 一五歳の 私が 憎しみ 拒んだものにさえ いまは 狂って 燃えさかる 四二歳の 女の 焔(ほむら) 焼かれて 燃えて 死にたいほどに 死にたいほどに ああ 不倫というには あまりにも 禁断の愛 激しすぎ 声をからませ 迫る 愛 四二歳の 私は 狂い 後悔もなく ひたすら 前を向く 生き直すには 私は まだ 若い 誰に 何を言われようと 私は決めたわ 火照るからだを信じて 生きる 誰に 何を言われようと 私は決めた 火照るからだを 信じて生きる

風に吹かれて(ピーター・ポール&マリー)

規律は破る ためにある…

風に吹かれて(ピーター・ポール&マリー)

原曲:風に吹かれて

規律は破る ためにある 私は 父から 教わった 停学 退学 数しれず パーマに お化粧 口紅と 規則 校則 いっさいを 破りつづけた 女子高生 規則 校則 破るたび 父親 曰く あっぱれだ さすが お前は俺の娘だ 風呂上りには 服着るな それが むすめに言うことか それでも私は ついていた 偏差値 低い 女子高で 東京大学 合格者 父親 狂喜し よしこれで バイとは決まりだ 風俗だ にたりと笑う 顔を 蹴る 東京大学 ずっと 四年間 パンツの見える ミニを穿き 校則破りに 挑んだが 誰も咎める ものおらず やけに親切 教授たち 逆に 選ばれ ミス東大 言うに事欠き 親父どの 次は 世界だ ミス・コンだ 賞金稼げよ がっぽりと それで おれも 一生涯 パチンコ打って暮らせるな バカヤローと 喚きたい 悪事の かぎりを 貫いて 娘の ヒモに 成り下がる 借金取りが 来るたびに 私の ヌードで 立て替える 写真撮る奴 触る やつ どなたも うっとり ご満悦 ああ 切りのない 腐れ縁 それでも 一緒に 暮らすうち 哀れを越して 愛情も 路上で飢えて 死ぬよりも ミス・コン荒らしの 娘との 一連托生 今日も また

ブロークン・ダウン(アリシア・キーズ)

一枚奥の 心の襞を 剥がすよに…

ブロークン・ダウン(アリシア・キーズ)

原曲:ブロークン・ダウン

一枚奥の 心の襞を 剥がすよに おそるおそる 捲ってみると ひりひり辛い 皮膚の剥がれる音がして 見たことのない 私の顔が 覗いていた 私がいつも見ている 私の顔なのに そうではないよ わたしがあなたの顔を見ているの 本当のあなたの顔は わたしの顔で あなたとは わたしに見られるだけの いかさまよ いつも知ってる私の顔は にせもので 他人に似せて真似しているだけの いかさまよ 本当の顔だという顔の 心の奥の真実が 私を睨んで 責めたてる ふだん着の 私は 他人から 批判されるの 大嫌い すこしの悪口 言われるだけで 三倍返しで し返す女 ちくちくと 相手の弱点 突き刺して 怖がる人の怯えた眼 見るのが愉しい イヤな人 自分で自分を知ってるつもりの 傲慢さで 生きてきたのに なんという無礼な奴だよ「あんた」って この際 はっきりしようじゃないの 私は 心の内面引き摺りだして 縛りあげ 三九度の炎天下 昼から干して夕方 見てみたら するめのように 伸びていた ざまあみやがれ 良心なんて こんなもの せっかくだから コンロで焼いて 食べちゃおう

ホット・スタッフ(ドナ・サマー)

愚かな男も 賢い女も その逆も…

ホット・スタッフ(ドナ・サマー)

原曲:ホット・スタッフ

愚かな男も 賢い女も その逆も 知能や職業だけでは 量れない おたがいに 感じるものの共感で 二万人 無礼講の 歌の宴が はじまった 二十四時間 オールナイトの 自然の中で わたしは十九 親の眼盗んで やってきた けっこう ボーイズ ガールズ 多くって わたしの横から離れない子は どうみても中学生 〜なのに 笑っちゃうね バストわたしより 大きいわ タンクトップのお胸 しっかり 盛りあがり 全身が バネ仕掛けの お人形 可愛い声が 張り裂ける 男の子の半分は 上半身 ハダカになって 男という種族が いかにバカなのか その見本 騒ぎながら 見せている たしかに トップレスの女の子 いないわけではないけれど 興奮よりも なんとなく 目立つ格好したいだけ 歌が好きで集まった というより むしろ なんでもいいから 上から目線で指図される日常から逃げ出して 何をやっても許される そんな 夢の時間に憧れて来た というのが 本音かも 一度でいいから わたしも全裸 踊って 跳ねて 声が嗄れるくらいの大声で なんでもいいから 喚きたい これって ホント 破廉恥でも ふしだらでも なんでもありゃしない

マック・ザ・ナイフ(ボビー・ダーリン)

消えた男の斬られた片手…

マック・ザ・ナイフ(ボビー・ダーリン)

原曲:マック・ザ・ナイフ

消えた男の斬られた片手 右利き男の 右手を残し 死体は おろか 痕跡も 血の一滴さえ 見つからず マイセン皿に 載せられた 豪華な謎の 数々さ 枢機卿の異名を持った 犯罪界の 大だてもの 前科二犯や 三犯の つわものどもにも怖れられ 誰も知らない(お〜)彼の顔 連邦政府も 記録なし 彼の女と 噂の絶えぬ ハスキーボイスのトップスター ロックまじりのリズムを踏んで 今夜も大観衆に応えてる これが名うての人殺し おしゃかさまでも ご存じないぜ 舞台を降りて ひと息ついて かつらを取っても 彼女は彼女 失くしたはずの 右手にも ダイヤの指輪 よく似合う 消えたはずの 人殺し あとは知らぬと 微笑みを 浮かべて今夜も ロックのリズム さあさ ゆかいに 踊ろうよ そうよ あたしこそ 本当の マック・ザ・ナイフ

ジェット(ポール・マッカートニー&ウイングス)

Jo Jo おまえ 寝ぼけて椅子から…

ジェット(ポール・マッカートニー&ウイングス)

原曲:ジェット

Jo Jo おまえ 寝ぼけて椅子から… 落ちたんと ちゃうか それとも ジョ ジョ 恋する女の腕の中から すっとん 突き落とされたんじゃ ねえのかい 恋なんて 夢見る柄じゃ ねえのにさ ジョ ジョよ おめえみてえな男でも 女の ふっくら お胸が 恋しいか よ〜く 噛んできくんだ いいな ジョ ジョ 忠告するわけじゃ ねえけどな 女は 止しな お前にゃ 無理だって・・・・ そういうわけでも ねくてよう おれたちみてえな クソまみれ 明日の暮らしも見えねえ奴にゃ 女は無理だ 俺も そうだけど 女って奴らは なんしても 金がかかるわ めんどくせえは 時間はとるわ 愚痴いうわ あげくの果ては 甲斐性なしと罵られ 化粧も剥げた 鬼のツラ 恋も愛も ふっとんじまう そのまえに ジョ ジョ てめえのように よだれ垂らして 夢の中 可愛い女の唇で 優しく 揉まれていれは いい いくら椅子から転げ落ちたって 諦めず 次の女の夢を見りゃあ いいわけさ 夢は やさしい女の 懐さ

ふりっこ・ふりふり・なんのふり

猫(ねっこ)ふり ふり 猫(ねこ)ふり ふり…

ふりっこ・ふりふり・なんのふり

原曲:

※モーレツ・ユーロ・ビート(あるいは・パラパラ)で歌うこと 猫(ねっこ)ふり ふり 猫(ねこ)ふり ふり ふりふり ふりふり ふりの猫ふり ふり ふり ふり なんだよ その歌 ふりってなによ へえ? 知らないの?  有名な あんた 噂の少女隊 知らないの 少女隊 いつも後ろ向きに行進し 後ろ向きに 鉄砲かつぎ はち きゅう ろく いち そのとき その場の かけ声で うしろ向きに行進する 顔は前を向いて うしろ向きに歩くので いつも だれかに ぶっつかる そのたび「あ〜ら ごめんあそばせ すみません」 〜おけがなどは ございませんかと、これが また 可愛いの なんの スーパークラスの可愛いい声 おじさん 兄ちゃん おばあちゃんたち 大喜び 少女隊 みんな お顔 きれいで スタイルよくて 最高の魅力は なんといっても コスチューム フィギュア・スケート テニスのウエアよりも 刺激的 ちらりじゃなくて いつみても 超ミニ パンツ丸見えで なんといっても そこが いい セクハラになるぞ 正視するなといわれても 見ない奴など いやしない そこが不思議で ございます まあ 聞いてくだされ 顛末を 少女隊 パンツは まっしろ 純潔で なんにも 印刷ごときは 見えないが 脳神経に刻まれる ああ 鮮やかに 鮮やかに 商標ブランド くっきりと 急に 買い物したくなり 今朝は思いつきもしなかった ブランド商品 いまは 競って 買いまくり こわいよ あんた こわいぜ これは 猫のふりふり 猫ふりふり ねこ ねこ ふりふり ふり ふり ふり ふり 無邪気な ふりで ちゃっかり 無意識 つかみ取る 自分じゃ な〜んにも気づかないから よ、よ、 よ、 余計に はげしく たまらなく 欲しくて 欲しくて 気も焦る 心と脳に 汗をかき べとかき 汗かき  おお騒ぎ 少女隊の ふり ふり 行進 猫っかぶりも いいところ ※ユーロビート・もしくは「ぱらぱらのイケイケ」で、曲はお好きなものを 手振り 身振り練習すれば あなたもいつのまにか 少女隊。

ジョン・レノンの精神分析

夢を食べた 男が い た よ…

ジョン・レノンの精神分析

原曲:カム・トゥゲザー

夢を食べた 男が い た よ だれだか きみは 知っていた はずだ むかしから きみは暗いところが すき 明るいと 夢が消えると なげいていた じゃ ないか  それで もっと くらい くらい ブラックホールに 巻きこまれ 悪魔のような 暗さ 黒さに 怖れていたのは たしか きみ 恐いのは 怖ろしいのは 暗さ じゃ な く て ほんとうは 美しすぎる光 輝くもの じゃ な い か と きみが 怖れていたもの 正体は 暗さじゃなくて たとえばの はなしだが 官能的な 女の照らす 眩さに 惹き込まれ あまりにも 賢すぎる女の 魅力に 夢で さえ 喰いつくされて しまうのさ 夢を食べた 男 が い た よ で も ほ ん と う は 夢ごと 黒い女に 呑み込まれた 男の ことじゃ なかったのかな あああああああああああああ〜〜

ポールの「イエスタデー」

ああ こ こは た〜しか…

ポールの「イエスタデー」

原曲:イエスタデイ

※易しいようで難しいよ、この歌は ああ こ こは た〜しか お〜じいさまに つれられ いつか 来た丘 広々と いちめんに並ぶ 墓の群れ 墓地というには あまりにも 美しすぎる みどりの花に 小さな石も 抱かれて眠る ああ こ こは た〜しか お〜とうさまに つれられ いつか来た街 こうこうと ネオンの花咲く 夜の街 胸をはだけた おねえさま 群れて 踊って 歌ってた いつか わたしも ステージに ああ こ こは た〜しか 最初の彼に 誘われて いつか泊まった 真っ赤なホテル くるくる廻る ベッドと鏡 わたしの裸の 万華鏡 溺れる愛の 幻想に それから 幾度も だまされる ああ こ こは た〜しか わたし ひとりで訪れて 男を殺した 暗い 過去 ひとり殺して また ひとり 憶えているには多すぎる 男の嘘を 刺してきた けっして 後悔 していない

ドント ユー リメンバー?(アデル)

いいえ 私は あなたの愛に 負けたのではありません…

ドント ユー リメンバー?(アデル)

原曲:Don't You Remember?

いいえ 私は あなたの愛に 負けたのではありません とても強く 逞しく あなたは私を 愛してくれたと思います 一度だって あなたの真心 私への思いやりの深さ 忘れたことなどありません 私にとって あなたは 初めての経験 とても驚き 戸惑い でも これほど熱い心が 私にも あったのかと 感激しながら 急にこみ上げる 愛の歓喜に 震えたものでした 夜の深い 闇を透かして めらめら燃える焔の 身体のなかに 少女の頃に憧れた恋の想いとは まったく別の 息のできない苦しさが 同時に 歓びとなるなんて あなたを思いだすたびに そのときのトキメク鼓動に いまでも打ち震え 思わず泣きたくなるのです でも、ほんと でも・・・なんなんでしょうか あるとき ふと 私の女の心の芯に 突き刺さる 凍えた刃の 一突きが あなたと私を裂いたのです その一瞬に 冷めてしまった あなたとの 愛 なぜだか いまでも わかりません ただ ひとつ あなたとは別の方との 愛のとき ふと気づいたのは あなたはあまりにも私より 大きすぎるお方だと むしろ 私は もっと平凡で 弱点たくさん抱えた人との 心の静かさと 安定を 愛したいのだと 気づいたのでした ほんとうに ごめんなさい あなたが悪いわけではありません 一生いっしょに過ごすには あなたは あまりにも逞しく 油断ならないほどに大きすぎるお方で ありすぎたのです ※原曲は、さらに長く続きますが、この歌詞が終わるところで切っても、問題はありません。

母の記憶

あげましょ あなたに この愛を…

母の記憶

原曲:ホフマン物語(ジャック・オッフェンバック)

《最後に一篇》 「津波で実母を失った娘が、亡き母の記憶を忍ぶ歌」 ※※※※※※※ ずっと不思議でならなかったのは、一一年間の歳月を経ても、なお、真の意味で災害の死者を弔う歌を創りあげることができなかった日本の音楽界の未熟さでした。うわべの体裁だけを、陳腐な常套句でなぞり、理想といいながら、実際には、身内の死に直面した人間の真実に迫るものからは遠く、怠慢というよりも、人間の死と向き合うことの意味を、理解できていなかったのではないかと思う。 同時に、いま、コロナ禍の最中に亡くなった人々の、その死の無念に対する真の鎮魂歌さえない実情。すくなくても太平洋戦争・敗戦直後の歌謡曲で歌われた日本の名曲には、事実を避けることなく真正面から見据えた魂の歌謡曲が生まれていました。 わたしは、ここで一曲、暗いとか明るいとか、そんな詮索などとは無縁の形で、七歳の少女が津波で死んだ母親の水死体を忍ぶ心の真実に近い歌詞として書き、原曲にオペラを用いました。 母親の無残な水死体の記憶とともに、水浸しとなった母親の衣装を通じて、その後、二十歳になった女性の成熟した視点で、改めて、水死した母の記憶を辿ることにしたのです。 ※※※※※※※ あげましょ あなたに この愛を 片目の潰れた お人形 滴る血のりの 赤い口 さあ ご褒美に あげましょう 水に染まった 振り袖と 凍てつく母の その記憶 呼べど応えぬ 横顔に 思わず 唇 かみしめる 私の心に 刻まれた 濁った水の 深い 傷 あげましょ あなたへ この夜を 荒野に咲いた 毒の花 七つの私に 刻みこむ さあ ご褒美を あげましょう 手脚の 千切れた お人形 焚火に燃える その記憶 濡れた おもちゃの乾くまで 瞳こらして 見つめてる 私の心に 焼き付けた 野辺の 送りの 冬の色 あげましょ あなたの この愛に 金襴緞子の お葬式 きらめく金糸の太鼓帯 さあ ご褒美に あげましょう 婚礼衣装の 亡骸を しんしん 積もる 雪の朝   素足で 外に 飛びだして 凍える 寒さを 抱きしめる 女の 哀しみ 包みこみ空へと 送る 母の愛