第1部
〜 少女たち 9曲 〜
祝歌(詩篇)
凍てつく鳥は どこの鳥…
祝歌(詩篇)
凍てつく鳥は どこの鳥
天から落ちた 堕天使の
ルシファー泣かせた海鳥か
はたまた 地獄の男を
抱いた女の 深情け
おまえの乳房は二双の刃(やいば)
右の刃で男の眼(まなこ)を抉り取り
左の剣で聖徳太子の首を削ぐ
見てはならない 魔女の肌
背筋に刻む 蜘蛛の糸
麝香の色香に憧れて
不倫の帳(とばり)を 犯すもの
ああ ふくよかな 禁断の
魔の香に酔って沈む 黒い夜
恋と愛 縺れる声のしのび泣き
愛する心は 夢の歌
晒し首(こうべ)の男の骨を
砕いて噛んだ 女の口に
滲む血筋の 華やかさ
エロスの愛こそ 歌の恋
エロスの誘い
もうすぐね わたしは声をかけてみる…
エロスの誘い
もうすぐね わたしは声をかけてみる
眠る前の 最後に すこし
右の手で 左の胸に 触れてみる
もうすぐよ 乳房の声が弾むように聞こえてくる
その「すぐ」が いつのことなのか
なにも はっきりしてはいないけど
確実に わたしは大人に向かって 伸びている
なにが待っているのかと空想ばかりに耽ってた
いまは ちょっと 感じがちがう
空想や憧れ しだいに地上に降りてきて
わたしの身の丈に沿った親しい感じなの
明日では まだ 早いけど
あさっては その次は
たしかに そこに わたしは向かってる
パパやママの前では まだ子供
だけど 胸はどんどん膨らんで
踊る心が息づくような気がするの
もうすぐね わたしは声をかけてみる
鏡に わたしを見せてみる
もすぐよ 鏡が微笑みかけてくれるとき
ああ と すこし反身になって 眼をつむり
ああ だれかの気配 唇に 感じるの
キスの上手な男が好きよ
いいよ いいよ セックスしたければ…
キスの上手な男が好きよ
いいよ いいよ セックスしたければ
でも わたし いまはしたくないの ごめんね
いくら言ってもダメは ダメ
別の子 探せばいいじゃない
男も恥を捨てれば けっこう いけるかもしれないよ
五人ダメなら 十人に
めくらめっぽう 当たってみればいいじゃない
みんなから ひじ鉄うけても
また明日という日があるじゃない
男なんて下らない意地 さらりと捨てて
お座り 土下座 地面舐めるようにひれ伏して
お願いしてみたら どうなのよ
みっともなくて そんなことできるかよ
見得はって おっしゃりたいのなら
あとはカネで買うしかないよ
そんな女でよかったら はい どうぞ
わたしたち まともな恋で生きる女には
ひたすら尽くしてくれる彼が理想的
威張って なんでも弩(ど)づく奴
札びらきって女を買いたいような男らに
だれが懐くもんですか
これからの男 プライド棄ててその代り
スマートなカッコよさ 身につけて
そして肝心かなめ もうひとつ
キスの上手な男になってね お願いだから
女の唇 噛むやつなんて 最低よ
ラテン風リズムのロック調
ココナッツ・ミルクにアーモンド…
ラテン風リズムのロック調
ココナッツ・ミルクにアーモンド
たっぷり入れてと 頼んだけれど
ちょっと これでは濃すぎたのかな
甘くて軽い密の味 ― だとしたら
ラブリーな展開 欲しいね もっと
もしもし あなた そこのひと
よろしかったら 一杯 いかが
わたしの口紅 ついているけれど
飲んでほしいわ 胸の空くまで
わたしの気持ち 飲んでもいいよ
ココナッツ・ミルクにアーモンド
たっぷり入れてと 頼んだけれど
ちょっぴり 甘くて軽い 恋の味
ハロー ハロー 誰かを呼んでみたくなる
あなたのようなひととなら
けっこう いけるかもしれないわ
わたしの胸は もう 大人
連れ出してくれない 甘い恋からは
ココナッツ・ミルクにアーモンド
たっぷり入れた 濃厚 愛の味
一諸に 飲みましょ アイアイで
わたしの恋も もう 大人
テスト・ケース
キスして 愛して 抱きしめて…
テスト・ケース
キスして 愛して 抱きしめて
わたしは若い子 もち バージン
最終までは ご免だけれど
途中下車なら いくつでも
試してみたいし ぜひ したい
親には内緒 しばらくは友だちにも
ぜったい嫉妬し ネットにバラすから
だからお写真だけは 止めてよね
キスして 愛して 抱きしめて
わたしは一七 女子高生
私服を着ると けっこう大人びて
一九くらいには 見えるかも
お顔や からだ 気に入らないとき
はっきり 伝えてくださいね
わたし ちっとも 怒りはしない
好きになってくれるひと ほかにもいると思うから
愛されるって どんな感じなのかしら
そのこと 直接 からだで感じたい
セックスしたりしなくても 大丈夫
十分 分かると思うの わたしなら
あなただって責任取りたくないでしょう
その点 わたしは しっかりしてる
バージンきちんと 守ってくれさえすれば
愛を からだ全体で 受け止めたいの
恋のつむじ風
ひとつの恋が出会う街…
恋のつむじ風
ひとつの恋が出会う街
私が愛した彼と別れた この場所で
新しい人との夢が結ばれた
多くの人が行き交いながら
お互い すれちがい
そ知らぬ顔で 通りすぎてゆく
街は風 つむじ風 恋の風
春一番に 髪がほどけて 宙に舞う
彼に会ったとき
私の髪も乱れ 顔も心も乱れてた
ひとりの男と別れた日の夜に
別の男と結ばれる
お伽話の世界の夢が
私の乱れた髪を結び直してくれたのね
絶え間なく風に揺られて乱れる街で
別れて 会って 結ばれて
お互いに そ知らぬ顔して行きかいながら
街は いつも 予期せぬ夢に満ちている
百万分の一のチャンスでも
この街は あなたをけっして見捨てはしない
ひとつの恋が出会う街
ふたりの愛が結ばれる
街の風 ときには乱れることも
泣くことだって ないわけじゃない
ダンシング・ラブ
ピョンと跳ねたら 月夜の鴉…
ダンシング・ラブ
ピョンと跳ねたら 月夜の鴉
恋が欲しいと 泣きじゃくり
短いスカート 斜めに穿いて
雨の降る日は 切ないと
心にもない涙の顔を潤ませる
笑っちゃうけど おまえの心
プラスチックの仮面に似てるぜ
うめえ具合に 出来ていて
手加減しだいで どうにでも
顔は変わるし 心も 変わる
泣くも笑うも おまえにとっては同じこと
ケラケラ泣いて うるると笑う
顔と反対 心の奥も
ホントも嘘も その場しだいの出来心
お前は ほんとに小悪魔だ
バラード
愛することが 喜びなら…
バラード
愛することが 喜びなら
その愛 すぐに結ばれる
愛することが 悲しみなら
その愛深く 心に刻まれる
愛することが 苦しみなら
その愛 あなたを強くする
愛することが 嫉妬なら
その愛 あなたを焼き尽くす
愛することが 友情なら
その愛 豊かに育つでしょう
愛は 人を喜ばせ
人を幸せにも導くが
愛は鋭い刃物のように
あなたの心を切り裂いて
苦しみの地獄へと突き落とす
愛は表と裏の怪物で
輝く表の歓びと
裏に隠れた苦しみが
あなたを捉えにやってくる
ノー・ワン(アリシア・キーズ)
涙は そのまま 拭かないでおいでよ 今夜は…
ノー・ワン(アリシア・キーズ)
原曲:No One
※アリシア・キーズ「ノー・ワン」を伴奏に歌ってみてください。素敵な感覚をどうぞ
涙は そのまま 拭かないでおいでよ 今夜は
きみの悲しみ 一緒に感じて 過ごしたい
楽しさとは いつも見かけ倒しの幻で
誰かが巧みに作りあげ
人を小ばかにしたように
薄ら笑いを浮かべた 冷たい
お伽話にすぎないさ お金儲けの商品なのさ
いまの時代
僕らは お金を払わなければ
恋の感情だって 味わうことができない仕組み
すこしだけ 自分らしく生きようと
すれば たちまち電波メディアに乗っ取られ
知ったかぶりの 悪態つかれ
死ぬ気になるまで 追いつめられる
ネット社会の恐ろしさ
ふとした愛の縺れから きみが犯した
不倫の夢も
いまでは犯罪者の罪を着せられて
石のつぶてに晒される
悲劇的な時代だね
・・・・悲しいけれど